『エイリアニスト』この犯罪ドラマは残酷なシーンに目をつぶってでも観る価値あり

エイリア二ストポスター

グロかったりおざましかったりするシーンは目をつぶるようにして出来るだけ観ないようにして最終話まで鑑賞しました。

なぜそこまでして観たかったかって?

すこぶる面白いからですよ!

※ネタバレたぶんありまーす

エイリアニストの意味とは

19世紀 精神病患者は人間の本質を失っていると考えられた / 精神病の研究者を “エイリアニスト” と呼んだ

『エイリアニスト』 オープニングより

最初はそのタイトルからSFかと思いましたが、ぜーんぜん違いました。

またこのタイトルは1994年に出版された同名の原作の小説から取られました。

舞台は1896年のニュー・ヨーク。

凶悪な連続殺人がおこっており、犯人が逮捕に至らない状況の中、現在でいう「プロファイリング」を駆使して犯人逮捕へと導く心理学者とその仲間たちの物語。

そのプロファイリングとはまだ名の付いていない方法を実践している心理学者。今のそれとほとんど変わらない内容でじわりじわりと犯人に近づいていきます。

その仲間たちが証拠として指紋が使えることを発見したり、手分けしてワシントンD.C.やノース・ダコタ州まで足を運んで捜査をしたりと、FBIの捜査の原型みたいなものが出てくるのも、FBIもの好きとしては面白い要素がいくつも出てきます。

また、フィクションに実在の人物であったのちに大統領となる、現在は警察署長のセオドア・ルーズベルトや金融界の大物JPモルガンなども出てきて、リアルな19世紀末期のニュー・ヨークの大物界隈の雰囲気を知ることができます。

かなりグロいエグいシーンがあるので、苦手な方もいるかと思います。

実は私もそーゆーのは大の苦手なのですが、なにせストーリー展開の面白さに負けました。

冒頭でも書いたように、そういう場面がきそうになった時にパッと目の前を手で隠して、なんとか全10話、完走することができました!

実力派勢揃いの魅力的な『エイリアニスト』のキャスト

ドクター・ラズロー・クライズラー役:ダニエル・ブリュール Daniel Brühl

タイトルにあるエイリアニスト=精神に異常をきたしていないと行えないような犯罪を犯す者を研究する心理学者。

主人公にして結構な憎まれ役。

まずね、とことんマゾスティックなまでに人を傷つける。しかも自分に近ければ近いほどそれがひどい。

「気をつけろ、いつか1人になるぞ」と言いながら、ずっとそばにいてくれるようなジョンのような親友の存在は、実際にはこのような人の近くにはいないかもしれません。

それくらい、観ていて「なんじゃこいつ!」と嫌な気持ちになるキャラクター。

人を怒らせておいて、嫌な気持ちにさせておいて、でも絶対謝らないふてぶてしさ。その徹底した謝らなさは、後半の初めて謝るシーンで活きてくるのですが、散々そこまで感情移入もできていないので、今更素直に謝られてもカタルシスもそれほどなく…。

後半、彼にとってショッキングなことがあり、捜査から一瞬離れるのですが、彼抜きの4人で捜査チームが出来上がった時には正直ホッとしたほど。

ただ芯から嫌な人でないのは、修道院?児童養護施設?みたいなところでのぽっちゃりの男の子との関係性で描かれているんですよね、ちゃんと。

そのぽっちゃりの男の子、いつもお母さんとの関係が悪く、そのせいでかなりフラストレーションがたまっている様子を見てるんですよね、ラズローが。

そしていろんな方法でガス抜きさせてやります。そこをちょっと思い出すと、憎みきれない人なんですね。

つまり未来の犯罪者予備軍を作るまいとした振る舞いをきっちり行なっているのです。そしてそこは手を抜かずいつも必ずやっていました。

いつも寂しそうなぽっちゃりくんと、彼のことを思いやっている主人公の姿を思い出すと、ちょっと泣けてきます。

このラズロー自身も幼少期、実の父親と、ある確執があり、そのせいで今でいうところの愛着障害や自己愛性人格障害などの症状が出ており、身近な人をことごとくいじめて、苦しませてしまうのです。たぶん。

で、そのことをわかっていて、でも自分でもなかなかどうしようも出来ず苦しんでいるので、この連続殺人魔に対して最初は嫌悪しているかのようですが、徐々に魅せられたかのようにシンパシーを強く感じていくのでしょう。

そしてぽっちゃりくんのことも、いつも気にかけてしまうのでしょうね。

最近よくプロファイリングを取り扱ったドラマや本を読んでいるのですが、追う方の主人公は、かなり邪悪な犯人との共通点が多いのが特徴です。

このラズローというキャラクターをステレオタイプに描かず、ましてや好感すら持てないような人物に描いたからこそのリアルな深さがあり、何かと考えさせられる面白さがあります。

連続殺人魔のことを研究している心理学者ですが、身近な人の気持ちをまったくわかっておらず、このなんともいえない哀しい生き物振りは、このダニエル・ブリューという達者な役者さんが演じたからリアルに感じられたものなのでしょう。

ダニエル・ブリューは私はなによりやはり『ラッシュ/プライド』のニキ・ラウダ役の熱演がとにかく印象に残っています。

この『エイリアニスト』も間違いなく彼の代表作となるでしょう。

ジョン・スカイラー・ムーア役:ルーク・エヴァンズ Luke Evans

ドクター・クライズラーから「君の方が僕より人に好かれるから」とお決まりの言葉でいつも捜査についてこさせられる、ニューヨーク・タイムズの記者、ジョン・スカイラー。

彼はクライズラーとは陰と陽のような関係で、いつも対立しているようで、でも複雑なクライズラーが外に赴く時に、社会との間に立って通訳の役割を果たすかのようにずっとそばについています。

一見ホームズに対するワトソンかと思いきや、自ら捜査に出向く行動派でもあります。ワトソンより行動派。まだ若いしね。

しかし自ら行動するのは、クライズラーに「君はもう用無しかな」とイジワルに焚きつけられたせいもあり、完全にクライズラーにいいように操られているのかもしれません。

ですが人のいい彼は、どこまでもそんなクライズラーを心配し、それよりなによりこれ以上犠牲者を増やさないようにと、必死に体を張って捜査に協力をしていきます。

影や傷を持つ暗部だらけのこの作品のキャラクターたちの中では(彼もあるトラウマを背負っているのですが)陽気で呑気なイージーゴーイング・キャラでホッとする存在です。

罪のない彼のような存在がいることで、この作品のおぞましい罪深すぎる犯罪とのギャップが映え、より犯人や、もしくはクライズラーの異常さが浮き上がってきます。

演じるルーク・エヴァンズはウェールズ出身。

『ワイルド・スピード EURO MISSION』『ドラキュラZERO』『美女と野獣』などに出演していますが、この作品以降、さらに売れっ子になりそうですね。

サラ・ハワード役:ダコタ・ファニング Dakota Fanning

その好奇心旺盛さが魅力。

おぞましい事件の捜査の一員になるよう頼まれた彼女。

いやな顔をするどころか、内心ワクワクしている様が表情をほとんど変えずに表現されており、その複雑なキャラクターに興味を引かれました。

史上初めての女性ニューヨーク市警職員になったというキャラなので、なにかと先鋭的だし、肝が座っているんですよね。

こういった時勢に流されない芯のある女性はいつの時代でも魅力的です。

演じるのはダコタ・ファニング。

あの『アイ・アム・サム』の女の子だよ〜〜〜。成長したなぁ。

彼女がかなりいいです。

この3人の主要キャラクターでは一番好きなキャラクターです。

独特のあの冷たいような、感情がない表情で、バリバリ捜査の手伝いをし、1人でスイスイ危ない橋も渡っちゃいます。

タバコを美味しそうに吸うシーンなどもあり、中身はおっさんなのだな 笑と一瞬思うのですが、本当に危険な場面などでは、全く動けないまま涙をツーっと流すしかすべがなかったりするところとか、やっぱり実は乙女な部分も残っていて、その揺れ幅が魅力ですね。

鉄の仮面をかぶっているようで、実はいちばん感情に素直に動きまくる彼女の活躍をとくとご覧ください。

個人的ツボだった役者さんたちとキャラたち

冒頭すぐ出てくるのは、ラズローの手伝いをしている若者スティーヴィー役でマット・リンツ。

あの『ウォーキング・デッド』シリーズのヘンリーくんです!

生きてて動くの観るだけでうれしいのは、あっちのドラマに感化されすぎ⁉️笑

しかし、このスティーヴィーに女装させた格好でおとり捜査をさせるなど、このラズロー率いる捜査チームはなかなかの鬼な大人ばかりです。

現に、スティーヴィーは真犯人と真っ向から対面する羽目となり(しかもその時の見張り役、しゃべってて危機を見逃してて、2人とも役立たず〜)一番危険な目に会うし、現在ならトラウマだのPTSDだの未成年虐待だの、いろいろややこしいことになること間違いなしなのですが、そこは時代設定が19世紀。おおらかになんでもありです。

あともう1人『シカゴP.D.』シリーズに出ていたブライアン・ジェラティ。

あのキム・バージェスとの名コンビぶりが印象的だった彼。

もともとのクラシックな顔立ちを生かし、作品の雰囲気にぴったり溶け込んでいます。

が、役どころが歴史上の人物であるあの”テディ”ルーズベルトとあって、その役の大きさにしてはかなりベビーフェイスでかわいいルーズベルトとなりました。

個人的に好きな俳優さんです。

あとは、二卵性双生児(にしても似てなさすぎ!笑)の部長刑事たちアイザック兄弟の存在も見逃せませんね。

現在の法科学、法医学にあたるものを自分たちで新しい方法を見つけてはごりごりに捜査していく様がとてもよかったです。かなり頼もしい!

製作総指揮/脚本はあのキャリー・フクナガ

プロファイリングものに今ハマりにハマっているので、その流れでこの作品を「面白いといいけどなぁ」と、なんとはなしに観ようと決めたのですが、この作品についてとあることを知り「あ、じゃあ大丈夫だ、面白くないわけがない!」と安心するに至り観ることにしました。

それは、HBOの傑作ドラマ『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』(2014)のシーズン1を全てを演出したキャリー・フクナガという人がこの『エイリアニスト』の製作総指揮および第4話と最終話である第10話の脚本に参加しているという事実です。

あの『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』は2人の刑事の17年に渡る捜査で犯人に近づいていく刑事たちを追ったドラマで、主役のマシュー・マコノヒーの演技の素晴らしさもさることながら、重厚な演出で衝撃的な面白さのドラマでした。圧倒されたんですよね。

で、このドラマの結果ですが、やはり素晴らしかった。

19世紀のニュー・ヨークの街並みの美しさと猥雑さがリアルに体感できる

特に19世紀のニュー・ヨークの描写。

特に屋外の撮影シーンが素晴らしい。

The Alienist Ep 101 4/8/17 ALIENIST_S1_101_08.04.2017_079.nef

富める上流階級の住む街並みから貧困層の多く住むスラムの街並みまで、とことん徹底した作りになっています。

その建築物は本物だそうで、撮影されたのはハンガリーのブダペスト。

ブダペストには19世紀のニュー・ヨークの香りが残っているわけですね。

そういったありものを使っているとはいえ、この美術、大道具、小道具、衣装に至るまでの徹底さは、潤沢な制作費が使われたことを意味しています。

製作はターナー・ネットワーク・テレビジョンというあまりヒット作など聞いたことのないテレビ局ですが、相当入れ込んでバジェットをつぎ込んだ渾身の大作となっています。

観ているだけで惚れ惚れしてくる19世紀の街並みを体感できる素晴らしさはこの作品ならではの特徴でしょう。

ちなみにキャリー・フクナガの次回作は2020年に公開が予定されているジェームズ・ボンドの新作『ボンド25』です!すごい大抜擢!

『エイリアニスト』シーズン2はある?

そんなわけで、実力派揃いの役者たちの演技と、19世紀のニュー・ヨークの街並み、ファッション、雰囲気が漂うところが見所のこの作品。

後半になるにつれ若干の失速感がありましたが、最初の方の息を呑むようなスリリングさはぜひ味わっていただきたいと思います。

グロいエグいむごいと3拍子揃っている話の内容なので、そういうのが苦手な人にはオススメしませんが、私のようにそういうの大嫌いなくせして

  • クライム・サスペンスもの
  • FBI、プロファイリング
  • 心理学
  • 個性的な人物の集まりの私設捜査チーム
  • 19世紀のニュー・ヨーク

などなど、大好きな要素がありすぎて、そっちの方が勝って最後まで楽しむことができました!

無事エイリアニスト』シーズン2も制作が決定しているようです。

なんでも原作でも続きがあるようで、1997年に出版された「The Angel of Darkness(原題)」を映像化するようです。

ラズローは少しは人間ちっくになっているのか?

ジョンとサラの関係はどうなっているのか?

楽しみに待ちたいと思います。

『エイリアニスト』のDVDは『エイリアニスト NY殺人ファイル』のタイトルでDVD化されています。

にほんブログ村 テレビブログ 海外ドラマへ
にほんブログ村


海外ドラマランキング