「あなた」宇多田ヒカル。「子」から「母」へとなった彼女が歌い上げる傑作。

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宇多田ヒカルのなんとも人間くさい大傑作アルバム『初恋』から出来れば全曲書きたい!

今日はシングルでもあった、アルバム2曲目のこの大大名曲について語ります。

2017年12月8日 配信限定リリース

M-1 あなた

2つのタイアップ

この曲は

映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』の主題歌

ソニーの『ノイキャン・ワイヤレス』のCM

という2つのタイアップがついています。

映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』は地上波の金曜ロードショーなどでもすでに放映されていて評判良かったりしてるの知っているのですが、私は未見です…。

観なきゃ、ですね。

で、こっちはSONYのノイズキャンセリングのワイヤレス・イヤフォンのCM。

これはTVでCMとして見た記憶はほとんどなく、CSのエムオンという音楽チャンネルや、ネット、あと大手電気屋さんの店頭なんかで、よく目にしました。

しっとりとしたこの曲にとても合っている絵作りのCMだと思います。

宇多田ヒカルのSONYノイキャン広告写真
SONYより。お美しい。

「あなた」はミュージック・ビデオがまた最高…

この曲も他のシングル曲同様、配信日を今か今かと楽しみに待っていた曲だったわけですが…。

結果『初恋』収録のシングル曲で、ダントツ1位で好きな曲って言ったら、私はこの曲になりました。

しっとりと歌われる「あなた」というシンプルなタイトルのうた。

この曲のミュージック・ビデオがまた秀逸でね。

この曲の魅力やテイストみたいなものを可視化するとこうですよね、っていうドンピシャのもので。

このMVのメイキング・ビデオをMUSIC ON! TV(エムオン!)チャンネルで以前観ました。

宇多田ヒカル「あなた」のPV写真
衣装は私服らしいです( ◠‿◠ )

監督は前作「Forevermore」でも組んだジェイミー・ジェイムズ・メディナという人が担当しています。

メイキング・ビデオで監督が、このプロモはアナログのフィルムとデジタルのどちらのカメラも使って撮ったということを言っていました。

よく観ると、フィルムの温かみのある少し荒い映像と、全くキレイでよく見える映像と、合わさって編集してあります。

これがまたこの曲をよく表しているんです。

つまり、めっちゃいい演奏を生かすために、めっちゃいい具合に録れてる、って感じ?

とにかくこの演奏が私はすごい好きで。

「あなた」は演奏も最高…

ドラム&パーカッション:クリス・デイヴ

ドラムを叩くクリス・デイブ
クリス・デイヴ(Chris Dave)

代表参加アルバム

  • マックスウェル『”ブラック”サマーズナイト』(2010)
  • アデル『21』(2012)
  • ロバート・グラスパー・エクスペリメント『ブラック・レディオ』(2013)
  • エド・シーラン『X(マルティプライ)』(2014)
  • ディアンジェロ『ブラック・メサイア』(2015)

いやぁ、この彼のドラムが抜群なんですよね。

完全にこの人のノリで気持ちよくドライブしている曲ですよね。

クリス・デイブはこの曲のほか、「大空で抱きしめて」「Forevermore」「Play A Love Song」「初恋」などで参加しています。

ちなみに私はこのアルバムをiTunesで買ったからはっきりとしたパーソネルわからんのです。

CD買ったらやっぱちゃんと書いてるかな?

参加アルバムではマックスウェルとディアンジェロのアルバムを聴いていました。
もっかいドラムに注目して聴き直してみよ( ◠‿◠ )

ベース:ジョディ・ミリナー

ピアノの前のルーベン・ジェームスとジョディ・ミリナー
左:ルーベン・ジェームス(Reuben James)右:ジョディ・ミリナー(Jodi Milliner)

宇多田ヒカル『Fantôme』の「二時間だけのバカンス」と「荒野の狼』

彼は2018年に行われた宇多田ヒカルのライブ『Laughter in the Dark』にも参加。

バンドマスターとして腕をふるっていますね。

ピアノ:ルーベン・ジェームス

サム・スミスのアルバムでピアノを担当しています。

 
 

MUSIC ON! TV(エムオン!)で放送されたこの曲のMVのメイキング・ビデオでは。この3人の興味深いインタビューがたくさん観れます。

もちろん、ヒカルちゃん自身のインタビューもたっぷり観れます。

同じ感じでメイキングが「Forevermore」と「初恋」と作られたのですが、どれもすごくおすすめです。

が、特にやはりこの「あなた」のメイキングがMVも曲も一番好きだからかしれませんが、一番優れているように思います。

そのメイキング・ビデオはどれも30分番組(CM入りで)だったのですが、「あなた」のメイキング・ビデオの5分のダイジェスト版がyoutubeで観れます。

ちなみに先ほど書いた3曲のメイキング・ビデオの完全版は2018年のライブ『Laughter in the Dark』のDVD/Bru-rayに特典映像として収録されています。

「あなた」は歌詞も言わずもがな…最高

それでは次は歌詞のお話。

まずね、この曲の前に発表されていた『初恋』曲といえば

「大空で抱きしめて」

「Forevermore」だったわけです。

で、まず「Forevermore」に私はぶっ飛んだわけです。

何にぶっ飛んだかっていうと、そこに復活以前のような、いやそれ以上の激しい恋、片思い、愛憎といった煩悩丸出しの情念の塊のような曲だったからです。

休養→結婚→出産を経ての復活。その間に作られた曲。

その時私は宇多田ウォッチャー(キモい)として、すごくピンポイントで気にしていたことがあったのです。

それは、母親になった彼女が、自分の子供のこと、もしくは母親であるということについて、いつ歌詞を曲を作るのか、もしくは全く作らないのかということ。

なぜここに注目していたかというと、私自身がヒカルちゃんが休養している時期に、子供が生まれて母親になったんです。

それはやはり、自分にとってでかい経験でした。

で、ヒカルちゃんも母親になってからの復活でしたが、それまではそういう母としての曲がなかったんです。

前作『Fantôme』では哀しい悲劇の後の余波が大きく、さらにこの『初恋』でもそこは濃厚に漂っていて。

それでも恋愛がモチーフになった曲は作られていました。

それこそ「Forevermore」のような極端な形を取った恋愛ソングまで作っていたわけです。

で、これですよ。

この曲。

「あなた」。

もちろん、恋愛の歌として機能するように作られていますよ。

でもね、キターーーーーーですよ。

キタコレ、これ、完全自分の子供についての、母親としての初めての曲やーん!ってすごく嬉しくなりました( ◠‿◠ )

ウォッチして待ってた甲斐がありましたよ。
こんな素敵な曲で登場すんだからもー。

彼女自身、どちらに取られても構わない(恋愛or親子)とメイキング・ビデオでは言ってたり、違うインタビューでははっきりと、母親目線で初めて作った曲だと言っているようなのですが。

そういうことはまだ知らない、リリースしてすぐのタイミングで、なぜ子供についての曲と思ったかの理由を以下に書きます。

一日の終わりに撫で下ろす

この胸を頼りにしてる人がいる

くよくよなんてしてる場合じゃない

Oh 肌の匂いが変わってしまうよ

ここはね、えらく直接的なんですよね。

母乳をあげている感触が伝わる表現で。

母乳の優しい匂いに赤ちゃんも自分も包まれる感じ、あるんですよね。

子育てのほんと最初期の幸福な時間。

あとねぇ

Oh ただの数字が特別になるよ

ここもねぇ、非常に「母親」としての眼差しを感じるとこですね。

子供が生まれると、その子の誕生日やら、生まれた時の体重やら、はいはいをし出した年月齢など、様々なちょっとしたことが特別な日や数値=数字として輝いてきます。

そういったことを歌っているのかなぁと、母親としてはそう感じたのです。

あとね

ひと寄せぬ荒野の真ん中

私の手を握り返したあなた

ここねぇ。泣けますねぇ。
宇多田ヒカルという人間は、表現者としてよく「荒野」というものを自分の立つ位置として出してくるわけです。
そんな荒野、荒地の真ん中で1人頑張っている時に、誰もいないと思っていたのに、小さなあなたが手を握り返してくれた。
これ以上、力の出ることってないですよね。

あと…

多くは望まない 神様お願い

代わり映えしない明日をください

ここがね、自分も未熟ながら人の親になれたことで、特にまだ子供が小さい赤ちゃんだった時に、ほんと同じようなことをよく思っていました。

代わり映えしない、ってのが肝なんです。

つまり、良い変化すらいらないってこと。

変わってほしくないのです、なにも。

多くは望みません。

ただどうか、この代わり映えしない平和な日々が続きますように。

この子と平和に無事に1日、過ごさせてください。

ほんとそんな感じのこと思っていました。

ヒカルちゃんは一流のアーティストなので、ちゃんと言葉にして、ちゃんとあの気持ちを表現できる、するんだなぁと感動しました。

そういったような、母と子の、本当に特定の時期のことを思い起こさせるような、部屋の雰囲気や匂いや幸せな気持ちをも思い出させるような、そんな素晴らしい歌詞なんです。

日本語でそういったような世界のことを、このような豊かで的確な言葉で表現し得たアーティストを私は宇多田ヒカル以外に知りません。

彼女はラブソングを自身の母親や父親のことをモチーフにして作ることもあるということをNHKの『SONGS』だったか『プロフェショナル』だかどっちかで確か言っていました。

例えば初めて密に対面する大人=初恋である、というようなこと。

で、そういう歌は決まってちゃんとラブソングとして機能しています。

つまり「親」がモチーフかもとは、考えないとわかりにくいようになっているのです。

だけどこの「子」がモチーフの「あなた」はラブソングとしてギリギリ機能していますが、もっとはっきりと「子」に対して歌われていることがわかるようになっています。

自分が「子」としてのアイデンティティがとても強かった彼女ですが、今後「親」としてのアイデンティティが、それを凌駕していくのかもしれませんね。

今後の宇多田ヒカルの変化、さらに見逃せないでしょう。

まぁこのように歌詞にタイミング的にとてもシンパシーを感じ、サウンド面だけでもすこぶる素晴らしく大好きな作品でしたが、この歌詞でさらに自分にとってかけがえのない曲となりました。

では、親としての歌詞、として一番素敵だなぁと思ったとこを最後にどぞ。

あなたと歩む世界は

息を飲むほど美しいんだ

「Play A Love Song」宇多田ヒカル。飯食って笑って寝ようそうしよう

 

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