エルトン・ジョンのデビュー作はサイケ調でディラン節?

elton john empty sky

採点:★★(ただしボーナストラックの4曲は★★☆!)

サイケ調、ディラン節の60年代のエルトンの実験的なデビュー作〜。

採点をつけるのはえらそうな行為なので、あまりやりたくないのですが、あった方が「私はこう思った!」というのがやっぱりわかりやすいと思うので挑戦してみようと思います!おてやわらかに( ◠‿◠ )

  • ★      (エルトン・マニアのあなただけどうぞ)
  • ★★     (面白い曲もあり)
  • ★★★    (良作〜)
  • ★★★★   (素晴らしい!傑作!!)
  • ★★★★★  (やばい!文句なしの大傑作!!今すぐ聴いて!!!)
    ☆は0.5です

今年(2019年)の8月に伝記映画『ロケットマン』の公開が迫っているイギリスのロック・スター、エルトン・ジョン。

これを機会に彼のアルバムを順番に振り返っていってみようと思います!




エルトン・ジョン。

私、彼のアルバムは大大大好きなものもありますが、聴いたことのないものもチラホラ。いい機会だからデビュー作からぜんぶ聴いていってみて感想を書いて行きたいと思います。

このエルトンマラソン、自分でもどこまでいけるか、かなり楽しみです!

今回はエルトン・ジョンの記念すべきデビュー作『エンプティ・スカイ(エルトン・ジョンの肖像)』です。

次の2ndアルバム『エルトン・ジョン』(1970)でドカーンと人気が爆発しますが、この1969年にリリースされた1stアルバムの時点では全然地味な存在だったようで、特に話題になるようなこともなかったようです。

そんなわけでこのアルバムは本国イギリスでしか当初リリースされな模様。のちにエルトンの人気が爆発してからアメリカなど各国でリリースされたようです。

ウィキによるとアメリカのリリースは6年遅れの1975年。

日本でのリリースは1年遅れの1970年。なんと日本の方が早かったんですね、しかも5年も!

当時の日本でのエルトンの人気(というか「Your Song(君の歌)」人気かな?)が伺い知れますね。

しかし作詞家である名パートナーのバーニー・トーピンとは2年前の1967年から活動を共にしており、このアルバムもすでに全ての曲が

作詞:バーニー・トーピン  作曲:エルトン・ジョン

という黄金コンビのオリジナル曲で占められています。

1969年6月3日リリース(英)

M-1 Empty Sky
M-2 Val-Hala
M-3 Western Ford Gateway
M-4 Hymn 2000
M-5 Lady What’s Tomorrow
M-6 Sails
M-7 The Scaffold
M-8 Skyline Pigeon
M-9 Gulliver/Hay-Chewed/Reprise

ボーナストラック

M-10 Lady Samantha
M-11All Across the Havens
M-12 It’s Me That You Need
M-13 Just Like Strange Rain

『エンプティ・スカイ(エルトン・ジョンの肖像)』感想

1stアルバムの1曲目というのは、かなりその人の特性を表す重要な曲が多いことがありますが。

しかーし、このエルトンの1曲目はしょっぱなからちょいとビックリします。

というのもピアノがメインというより、エキゾチックでサイケな調子で8分30秒もある「らしくない」珍曲から始まるんです!

エルトンの歌い方ものちに聴くことのできるパワフルさやジェントルさの片鱗はちょっことは感じられますが、曲によっては歌い方がボブ・ディランのイミテーション臭が過ぎるものがこの1曲目以外でもいくつかあったりで、気になるっちゃあ気になる。

新人エルトンくんはそーゆうのを求められていたのかなぁ。

それよりも単純にエルトン自身もまだ自分の個性や持ち味を勝ち得ていなかった中での演出の1つだったのかもしれません。

それにしても1969年に「サイケ」だったり「ディラン」だったりするのは、少し遅過ぎるのではないか。

つまりはB級のプロダクトの匂いがぷんぷんします。売れりゃあなんでもいいと。

天下のエルトン・ジョンにだってそんな時代、こんな作品があったわけです。

しかし、そこはかとなく漂うのは良メロディの萌芽。

「あれれ〜?」って装飾をされていても、隠せないのはそのメロディが持つ強靭さ。

やはり一筋縄ではいかないデビュー作です。

以下は気になる曲たち。

M-3「Val-Hala」

感傷的なメロディにハープシコードが加わり、個人的に好みの曲です。

しかーし、これが完全に歌い方ディラン節〜。つまり珍曲〜。

何も知らずに聴いたらエルトン・ジョンの曲だってわからない人多いんじゃないかしら。

M-5「Lady What’s Tomorrow」

これはかなり”エルトン”度が高い。なにしろピアノのイントロから始まるのだから。そのことがもっぱらめずらしいというアルバムなもんで。

そしてヴォーカルはやはりどこかディラン節〜。

このアルバムの楽しみ方は曲の中に潜む”エルトン度”を探し当てることにあるのかもしれません(わりと楽しい)。

すんごい英国臭プンプンで同時代のキンクスの曲っぽい香りも好印象。

M-6 「Sails」

間奏のギターがやはりギュインギュインのサイケ調の曲なんですが、ヴォーカルがディランではなく”エルトン・ジョン”で、この曲も聴いてて「あぁこれこれ!」ってなります。

でも、この「ギターとエルトン」の妙な組み合わせが今となってはオツなもんです。

ここでも逆説的に「エルトン・ジョンのヴォーカルとは?」ということを感じずにはいられません。

M-8 「Skyline Pigeon」スカイライン・ピジョン(旧題:地平線の小鳩)

出た、このアルバムのとびきりの代表曲!

イントロからハープシコードの音色が素敵な、立派なバロック・ロック(しかし3年ほど遅い)。

このアルバムの中で、他では聴けなかったような、構成もメロディもプロダクションもとても堂々とした曲。曲としての完成度が高い。

つまりみんなが知っているエルトン・ジョン、と言える価値がこの曲にはあります。

ハープシコードっていい楽器だなぁとうっとりしてしまいます。

価値ありのボーナストラック4曲

このアルバムには同時期に発売されたシングル曲のA面B面の4曲が収められていますが、4曲とも明らかに1stアルバムより優れています。かなり価値ありのボートラ4曲です。

なのでCDや配信でアルバムを買う時は、このボートラが入っている盤を強くオススメします!

実際アルバムを通して聴いて、ボートラまでくるとエルトン成分が多くなってくるので、安心して聴けるんですよね。

おぉ、だいぶエルトンっぽくなってきたぞと。大事に育ててきたおたまじゃくしに足が生えてきて、だんだんカエルの姿になってきたけどしっぽがまだある、というような姿。

カエルとはまだ言えないけれど、もうおたまじゃくしではない、そんな移行期の姿を聴く醍醐味がこのボートラ4曲に、より詰まっています。

Mー10 「Lady Samantha」

かっこいい!これは明らかにほとんどカエル…ではなくエルトンっぽい!

メロディアスだし「れでぃーさまーさっ」っていうサビもパンチがあって、ポップ。

のちのエルトンにはない60年代の英国ロックの暗い熱さみたいなものも感じられて、これはこれで初期ならではの希少な立ち位置の曲です。

スリー・ドッグ・ナイトがアレンジなしで、まんまカバーしていますが、確かに彼らっぽい味がありますね。ワイルドで男らしい曲です。

M-12「It’s Me That You Need」

これも60年代英国ロックの湿り気や芝居っ気がたっぷりの曲。

メロディがいいとこまでいくのに、なんか振り切れない。モヤっとしてる。

これがここまでのエルトンの限界なのでしょう。

 

it's me that you need 45

60年代ポップスが好きな方は、エルトン・ジョンのアルバムということを抜きにして、ごちゃごっちゃっと施された60年代ポップスの味付けを多層的に楽しめる作品だと思います。

このアルバムを聴くと、「自分の持ち味を見極めて、それをシンプルにダイレクトにいかすこと」の大切さがよくわかります。

それをやることの難しさもまた。

 

まず「自分を見極める」ということが、そこでの自分というものを「掴む」ことが並大抵のことではできないのかもしれません。

 

しかしエルトンは、次のアルバムでなんなく「掴んでしまう」のです。

 

そしてとんでもない才能を全世界に向けて発揮していくこととなります。

そんな前哨戦とも言えるこのアルバム。

このアルバムでしか聴くことのできない、まだ自分を掴みきれていないエルトン(with ディランでサイケ)も、またオツなものです。



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