エブリバディ・ウォンツ・サム!!世界は僕らの手の中に。感想

原題:Everybody Wants Some!! (2016)

監督:リチャード・リンクレイター

バカ騒ぎ青春映画で言葉にならない感動。リンクレイター監督はヤバイ!

まったくわざとらしさがない。

これみよがしなところがない。

かと言ってリアルすぎるわけでもない。

インディペンデンス映画と娯楽映画の良いとこが合わさってる。

バランスがすっごくいい塩梅の映画!

これはめちゃくちゃ大好物です!!

この映画は、私はひかりTVのシネマチャンネルのオンデマンドで観ました。

最近映画はどうもしんどくて、時間も短くて気軽に観れる海外ドラマをよく観ていました。

ところがひかりTVの説明欄にあった4人のアメリカンが歩いている写真を見て、あ、観よ。と軽~く思えたのでした。

なんかこれ良さそう、って。

で、ひょっとすると、ひょっとするかも、って。

それがこの写真。

なんか大人版スタンド・バイ・ミーみたいな感じ?と少しワクワク。

ちょっとぬけてそうなとこもまたよしで。

そしてその軽い予感みたいなものは、当たったのでした。

最近は映画はおろか、1時間の海外ドラマですら20~30分刻みでしか観れないような集中力だった私。

それがこの映画には知らない間にどんどん引き込まれて、気づけば最後まで一気見!

そして言葉にならない感動の余韻に浸っている自分が、そこにはいました。

始まりはカーラジオからナックの「マイ・シャローナ」!!

まず、なんの説明もなく、野球部員として新しく大学の寮に入るところの主人公・ジェイクと一緒に、1980年のアメリカのテキサスの空気にポイッて放り込まれる。

こういうとこからして最高。

ファースト・シーン。

主人公の車が大学の野球部の寮に向かっているところ。

BGMはカーラジオから流れる ナックのマイ・シャローナ!! 

テンション上がらないわけにはいかない、時代を一発で分からせる選曲。

一気にその時代へいける!

疑似体験。

だけど、単なるヒーローものでもなければ、歴史物でもないわけで、ただただリアルに80年代初頭のむさい大学生たちの中に入れられるわけです。

ストーリーに縛られず、だけど、話が進んでいくうちにキャラやその相関図も見えてきて、それとともにどんどん有機的な場となり、濃密な時間になって、映画は進んでいく。

主人公と書きはしたけれど、導入役として、観客と共にいる人、と言った方がいい。

それくらい、それぞれが個性豊かな群像劇。

いや、群像劇ってなご大層なものでもないんだよな。

空間劇?間柄劇?

いやほんとにこのさりげなさこそが最高なんですよね。

キャラのためにストーリーが強引に進んではいかない。

逆にストーリーのためにキャラが犠牲になることもない。

ごくごくナチュラルに淡々と時間(この映画だと三日間)が過ぎていく。

ジョック(Jock)の真実とは

学校の体育会系、この映画では野球部員なんだけど、そういうの向こうではジョック(Jock)って言うらしいですね。

いわゆるナードとかギークとかの対義語かな?笑

とにかくジョックは自分最高!な脳みそが筋肉でできているおバカなイメージ。

私はまず小説「ライ麦畑でつかまえて」のストラドレーターを思い起こしました。

なんかかっこいいのかもしんないけど、中身ないっていうか、見かけだけの人っていうか。

主人公のジェイクは大学に入学したてなのですが、ちょっとそのジョックな周りの先輩たちとは違う雰囲気も持ち合わせていて、少し大人しそうだったり知的な感じだったりします。

しかし映画が進むにつれ、ジェイクもやんちゃなチャラい部分を持っていたり、逆に周りがそんなおバカっぽくなかったりと、登場人物全員がステレオタイプに収まることなく、憶測を小気味好く裏切っていくリアルさがあるのですよね。

そのため全員がちゃんと、興味を持って見れる対象で。

本当にそこにいるかのようなリアルさで、まさにそこに、目の前にいるんですよね。

そして自分も一員な感じ。

これ、あまり有名な俳優を意識的に使っていないから出せる空気感でもあるんですよね。

でもこっから未来の大スターが出る可能性もあり、ですね。

あと、このリアルさはリンクレイター監督自身の体験によるものが大きいらしく、監督がまさに大学時代は野球部員で、ジョックだったそうなのです。

監督へのインタビューを読むと

今まではジョック出ではない大人しい人たちが映画を作っていたから、運動部員がよくあるようなおバカな描写になっていたので悔しかった

というようなニュアンスのことを語っており、本当はこうだったというものを描きたかったんだそうです。

どこまでがジョークかわからないうような面白い発言ですが、私には割とまじに響きます。

そう感じるほど、良い面も悪い面も、おバカなとこもシリアスなとこも、くだらないとこもくだらないとこもくだらないとこも…笑 映画にはぜーんぶ描かれていたので。

若いアメリカ人、半端なく人生楽しむ!

あと少し驚きなのが、若きアメリカ人のバイタリティーの凄さ。

大学が始まる前のたった三日間(正しくは四日間らしいですが)で、自由な大学人生の全てを味わい尽くすような勢い。

少し人見知り癖のある私だったら、この三日間部屋にずっとこもって、まぁせいぜいルームメイトと少し打ち解ける程度であるだろうなぁと。

それが、こやつら(と愛を持って呼ぶ)は

1日目の夜→ディスコ

      からのワンナイトスタンド

2日目の夜→ディスコを喧嘩で追い出されて

      からの、カントリーの店で踊る

3日目の夜→パンクバンドのライブ

      からの、寮で自分たち主催のパーティー(乱痴気騒ぎ)

      からの演劇部でのパーティーだったっけ?

これ、夜の活動だけ書いたけど、昼もみんなでつるんで何かしら遊んでるからね。

最終日の昼は野球の自主練もあったし。

たった3日間だけど、これだけのことしながらずっと一緒にいるんだから、仲良くなるよね。

いや、仲良く、ってのは語弊がある。

正しくは作中で誰かが言ってた

「動物の群れの本能」

みたいなもんで、仲間を守る意識、みたいなものが常にある間柄。

終始ふざけ合いながらもベタベタはしてない。

同じ時間と空間を共有していること(=人生!)、そしてそれを少しでも楽しむ、いや楽しみ尽くすってことに、アメリカ人は若い頃からすごく敏感なのでしょうね。

リチャード・リンクレイター監督の持つバランス感覚

改めて、この作品の、この監督のバランス感覚が好き。

新入生の描き方にしても、1年生だけど、いじめられるだけじゃない。

いじめられそうな田舎っぺや変人も、本格的にハブられるわけではない。

誰かを突出させない優しさ。

あるキャラはある場面ではからかわれ続けそうになっているけど、時間が経ったある場面では普通に仲間として一緒にディスコやバーに行って、仲間として行動している。

特段引っかかりがなくても、描いても良い自由さ。

リンクレイター監督は一辺倒にだけはならないように、そこに苦心しているように思う。

ステレオタイプにだけは描かないよ、と。

音楽好きな監督ならではの音楽が絡んだ印象的なシーン

冒頭、主人公・ジェイクが野球部の寮に初めて入った時、両手に抱えているのは箱から顔を出しているのは20枚ほどのアナログ・レコード。

これだけは外せないアルバムたちなのでしょうね。

うんうん、わかるわかる。

でもこれ、今だったらポケットに入っているんですよね。

ポケットの中のスマホの中に。

全てがスマートにこじんまりとコンパクトになった今の時代。

この映画を観ていると音楽だけではなくて、人間関係とか、今の時代と80年代くらいの時代、果たしてどっちが幸せなんだろうなぁ、とか考えちゃいますね。

スマートな便利さと「個人」を取るのか。

豊かなわずらわしさのある「人との関係性」を取るのか。

そうそう。

レコードといえばそのあと、先輩の一人に(演じるのは「ウォーキング・デッド」シリーズの顔半分焼かれるドワイトです!)に勝手にそのレコード・コレクションをチェックされ、さらには勝手に一枚持ってかれるんですよね。

果たしてその先輩が持っていったアルバムとは⁉︎

ニール・ヤングの『Decade』です‼︎

二枚組のベストアルバム!

傷つけるなよ!って本気で怒ってたジェイク。

いいの持ってくね~、ドワイト!

あと車でパーティーに誘うの目的で女の子たちをナンパクルージング 笑 してる時、みんなでシュガーギャング・ヒルのラッパーズ・デライトをラップして盛り上がりまくり!

こういうノリは実にうらやましい。

リンクレイター監督作品はサントラ良すぎ!ジャケも最&高!

リンクレイター監督の『6歳のぼくが、大人になるまで』も90’s~00’sのその時々に流行ったポップソング、ロックソングをちりばめたサントラが最高でした。

今回は1980年の設定ということで、映画タイトルの元となったヴァン・ヘイレン、パット・ベネター、

サントラがAppleMusicになかったのですが問題なし!

5000万曲あって洋楽に強いAppleMusicです。

調べるとAppleMusicには、サントラ収録曲が全曲ありました。

その曲を集めてその通りの順番でプレイリス作って聴いています!

チャラい80年代初期の匂いのする、でもノスタルジックでグッとくる最高なサントラです!

なんでもないようなことが幸せだったと思う

この映画を観終わったあと、この歌が私の頭の中で流れたとか流れてないとか…笑

でもほんとこれ。

まさに!!

この感じ、この流れ。

これなら永久に見れると思った。

つまり大学4年分見せてもらっても構わないと(むしろ見せて)。

だけど、この始まるまでの数日間、ってとこにポイントがあるのだと思う。

この3日間を切り取る

実際見ていて、こやつら(ラブ)の20年後の姿をそれぞれ見てみたい!と思ったのですが、それをやっていたのが『6歳のぼくが、大人になるまで』であったわけですね。

その子の12年を追ったわけですからね。

ぼくが大人になるまでの12年間と。

この大学が始まるまでの三日間。

長いか短いかだけで、人生のなんてことない輝かしい瞬間の積み重ねであるという面で変わりはないのです。

この監督は、その人々の人生を、その切り取り方と重ね方での見せ方が抜群に上手い人です。

私はまだリンクレイターの監督作品は『6歳のぼくが、大人になるまで』しか観たことがありません。

だけど『6歳のぼくが、大人になるまで』も

この『エブリバディ・ウォンツ・サム』も

心に長い間残ってしまって、ムギューーと離さない

とてもチャーミングながら、人生について今一度考えさせられる、素晴らしい映画でした。

もっとリンクレイター作品を観ていこう!!

この映画が、我が新しいブログの門出を祝ってくれました!

これが記念すべき新ブログの第一号の記事となります。

ありがとう、みんな!!

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