ジェフ・リンズ ELO『フロム・アウト・オブ・ノーウェア』ポップの魔法は今もここに

なんの変哲もないELOらしい美メロが映えるポップ・チューンだけが詰まったアルバム。

ただそれだけのことがどれほど素晴らしいことか。

2019年にもなってなお、こういった素晴らしい新曲を届けてくれるジェフ・リンに感謝しながらじっくりなんども味わいたいアルバムです。

「歳取ったなぁ」なんて感じさせる曲なんか1つもなく、ポップ・クリエイターとして現役バリバリな完成度の高い曲ばっかり。

メロディやアレンジの”鬼・良ポップ”なとこに衰えは感じませんし、いい具合に歳を取ったことによって出てきた若干の”まったり感”も逆に心地良くて。

2015年リリースの前作『アローン・イン・ザ・ユニバース』も変わらず素晴らしかったですが、”2010年代のELOも最高”だなんて、どんだけ幸せなんだと一ファンとしては喜びころこび聴き狂うだけなのです。

『From Out of Nowhere』Jeff Lynne’s ELO 詳細

M-1 From Out of Nowhere

ジェフ・リンはこのアルバム及びタイトルにもなったリード曲のこの曲についてこう語っています。

「『From Out Of Nowhere』というタイトルはその言葉の通り、”どこからともなく降ってきた”んだ。タイトル曲もそうだった。あの曲の核となる部分が、どこからともなく現れて、それをそのまま弾いたらできたんだ。これはこのアルバム用に最初に書いた曲で希望と救いについての曲。誰でもほんの少し希望を持って、楽観的になることが必要なんだ。僕もそれに何度も救われてきた。その感覚がアルバム全体を通じて流れるテーマにもなっている」

ジェフ・リン インタビュー Rolling Stone JAPN より

”どこからともなくあらわれて”

From Out Of Nowhere

こんな素敵な曲がどこからともなくあらわれてくる、ジェフ・リンの世界。

”希望と救いの歌”と語っているけれど、ELOの黄金期である1970年代から遠く離れた2019年現在、このような素晴らしい曲やアルバムを届けてくれることこそが、希望と救いになっていますよ、ジェフ・リンさん。

 

 

M-2 Help Yourself

ジョージ・ハリソンでもあり、ポール・マッカートニーでもあるような、そんな曲。

そんな曲描ける人、やっぱジェフ・リンしかいませんて。

歌い出しのメロディ、アレンジ、この泣ける感じ。可憐なピアノが追い討ちをかけてくる。

このゆったりして、いかにも英国ポップ人が歳を重ねて作った曲、みたいな佇まいがなんとも素敵です。

ジェフ・リンてこの変わらない落ち着き、みたいなものがいいんだよなぁ。

M-5 Losing You

このギター、このメロディ…あぁ…(大粒の涙)

この他になにもいらないなんて思わせるほどの魅力がありますよ、この曲。

この曲にはジョージとポールとジョンまでいるよ。

ビートリッシュ魂みたいなもんが宿っとる。うん、宿っとる。

まったり優しいテンポとメロディとアレンジで。

気持ちいいなぁ。

BPMとしてビートルズのアンソロジー収録の「Free As a Bird」に似てる。

言わずもがなジェフ・リンのプロデュース曲です。

これはあれだ、「Free As a Bird」と同じ類の魔法がかけられた曲なんだなぁ。

この曲終わったあと「Free As a Bird」のブレイク後の残り20秒くらいのアウトロをつなぐと、なんの引っ掛かりもなくつながります。なぜなら同じ魔法でできているから!

サビの方の「る〜〜〜〜〜〜じんゆー」

の「〜〜〜〜」のとこが、なんかクセになるよなとろけそうなメロディで歌われるんです。

そこんとこにかかると、魔術師の魔法みたいなもんを見る(聴く)感じになります。

私のこのアルバムの一押し!

M-9 Time of Our Life

90年代のパワーポップバンドが書きたくて書きたくて、でも決して書くことのできなかったような曲を、ジェフ・リンはきっとこの曲のようにサラっと書いたことでしょう。

彼だけが持つ、ポップの魔法、処方箋。

ポップの黄金律を、ゴールデン・ルールを知っている。

それはきっとシンプルなもので、だけどシビアで。

ジェフ・リン自身も過去のポップスを猛烈に勉強して自分の中に取り込んだのでしょう。

 

 

M-10 Songbird

このラストの曲がまた…!

このアルバムの曲って、歌の入りかたがいいものが多いんですけど、この曲なんかそこ最高だなぁ。

転がるようなギターの音色と、コーラスと、宇宙船っぽいSE?と。

夕焼けが似合うような、ちょっぴりルーズで切ない歌。

だけど歌詞は自分の元に帰ってきた彼女のことを喜んでるっていうギャップ。

とても魅力的な曲です。

このアルバムは全10曲、33分なんです。

だからあっという間に聴き終わります。

今年出た小沢健二の新作にも同じことを感じましたが、作品の時間が短いと、続けてもっかい聴こ、って自然と思えて好きですねぇ。

さくっと終わるのいさぎよくていいです。

 

 

2019年はロックの大御所が気合の入った新作を続々と出してくれて、なんともホクホクなわけですが。

例えばニール・ヤング&クレイジー・ホース、ブルース・スプリングスティーン、ヴァン・モリソン、ザ・フー、リンゴ・スターなどなど。

元気でいてくれるだけでも嬉しい人たちなのに。

みなさん、もう70過ぎですが、創作意欲が衰えるどころか、みなぎっている人たち。

そして今回の主役、ジェフ・リンもやはり71歳なんですよね。

しかし、POPの魔術師はまだまだ健在で、思わずなんどもなんどもリピートし続けては、聴き惚れてしまいます。

魔法にかけられたままで幸せです。

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