宇多田ヒカル『Laughter in the Dark』感想。暗闇に笑って立ち向かう人の祝祭の空間

宇多田ヒカルはロールプレイングゲーム、いわゆるロープレの勇者だ。

道を切り開き、敵をバッタバッタとなぎ倒していく、冒険の主人公。

困難な問題や暗闇に立ち向かう、勇気のあるもの。

対してオーディエンスである我々は、彼女のあとを2番目か3番目だか4番目だかに付いていくもの。

同じ時代に宇多田ヒカルという勇者のいるこの幸せを噛みしめる。

シンプルな舞台装置にシンプルな衣装の中で。

1人舞台に立ち歌う彼女の姿を見て。

そんなことをひしひしと感じていました。

このライブを家でやっと観れる、味わうことができる日がきました!

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2019年6月26日現在、ご覧の方法で観ていただけるようです。

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宇多田ヒカルの声の正体

彼女の曲には彼女自身の声で多重録音されたコーラスが多用されます。

それが曲のどの部分であっても割と重要な位置を担っていたりして、もちろんライブでも彼女の生声に録音されたそれがかぶされるわけですが…

ライブに至っては、いやこの『Laughter in the Dark』のライブに至っては、それが邪魔だと感じるほど、生の歌声のパワーがすごい。

ずっと生の歌声だけを聴いていたい。

なんだろ、上手いとか下手とか、そんな次元のとこから出てる声じゃないんです。

(もちろん歌が普通に超上手いのは大前提としています)

なんどもなんども聴き狂った歌が、舞台の上の1人の女性から聴き覚えのあるメロデイとリズムで発せられるのをじ〜っと観ていると、聴き尽くした歌のはずなのに、言葉では言い表せられないものを聴いているような気持ちになります。

強いというには高い声だし、決して太くもない。

どちらかというとレコーディングされた曲よりかわいらしい印象のライブの歌声なんですけど。

あの強力な歌たちを、この強力な人が歌う。

そうすると足し算とか掛け算とかおよそ人類が考えられる計算では割り出せない、こんなパワーが宿るのかと。

これ、生で観たらどんだけすごかったんだろう。

私はライブを観に行けなかったので、このライブのビデオの解禁日、本日2019年6月26日がたまらなく待ち遠しかったです!

演奏陣、アレンジ共に最高のクォリティ

私は生の演奏の旨味が凝縮されていたアルバム『初恋』が大好物なのですが、その『初恋』に参加しているメンバー

ベースのジョディ・ミリナー

ギターのベン・パーカー

もこのライブのバンドメンバーとして参加しているんですよね。

このベース好きっやわぁ。

特に冒頭の「あなた」のベースは絶品です!

他にもドラムにアール・ハーヴィン

ピアノ/キーボードにヴィンセント・タレル

シンセサイザー/パーカッション/その他にヘンリー・バウアーズ= ブロードベント

ストリングスに四家卯大ストリングスという編成です。

みなさん、とても素晴らしいお仕事をされています。

特に古い歌は新しいアレンジなども気持ちよく聴けるし。

復活後の『Fantôme』『初恋』の2枚からの新しい歌はもうしっくりしてるし。

「Laughter in the Dark」レビューという名の感想

「あなた」で始まり「道」へと続く…そして

この始まりかたがグッとくる。

「あなた」の冒頭はヒカルちゃんだけの声です(一瞬ですが)

舞台下からせり上がってきてからの、この曲を歌い出すとこは背筋がゾクゾクくるほどカッコ良いですね。

待ってました!って感じで。

2010年の『Wild Life』ツアーからおよそ8年経ったわけですからね。

この『Laughter in the Dark』ツアーの曲構成はよく練られた素晴らしいものだと思います。

宇多田ヒカルの休養から復活してからの今までの道のり、というものを曲順でも感じさせてくれるものになっています。

また2曲目の「道」からは3曲目の「travering」につながるのですが、そこも彼女の歴史を凝縮しているようでかなり気持ちも盛り上がります。

このツアーで採用された旧曲って、やはりどれも重要曲ですね。

以前のヒット曲のオンパレード・パート!

「travering」

「COLORS」

「Prisoner of Love」

「Kiss & Cry」

「SAKURAドロップス」

「光」

こう続くのです。

どの曲も今の宇多田ヒカル、この演奏陣で演られると、すっごい凄みをのぞかせつつ安定したまま曲の良さはそのままって感じで、とても聴いてて気持ちいいですね。

中盤の「ともだち」と「Too Proud」が魅せる聴かせる

さて「光」の次からは復活以降の『Fantôme』『初恋』の2枚からの曲が続きます。

この「ともだち」と「Too Proud」にはシングル「Forevermore」のPVの振り付けをしたダンサー、高瀬譜希子さんがバックダンスを務めます。

これがまたヒカルちゃんとの絡みもありつつ妖艶でね。

なんか手を繋いでの仲良しMC、観ててこっちが照れた( ◠‿◠ )

でも力入ってましたね。良い演出でした。

ライブ中の宇多田ヒカルとダンサーの高瀬譜希子

そして「Too Proud」にはさらにびっくりさせられたことがあってね。

なんとレコーディングされた曲ではフューチャリングされてた男性ラッパーがtラップしていた部分を、ヒカルちゃんが日本語で新しい歌詞でラップし始めたのです!

そしてそれがまたよくてねぇぇぇ!

日本で一番のラッパーなんじゃないの?ってくらい全然日本ナイズドされていない、本場のアメリカのラップの感じで、でもバリバリ日本語ってのが成立してて、もーすげぇーかっこいいの。

ンアッ、ンアッってライムの合間に入れるのめちゃクールだし( ◠‿◠ )

しかも内容が曲に合わせて、夫婦間の問題、冷めていく愛情、情熱みたいなもんだからまたシビレるというか。

だってそんなラップ聴いたことないもん。

で、その内容を鑑みるに、この曲のディープなとこを理解するのを助けてくれるものになってました。

ヒカルちゃんはHipーHopファンだと聞くし、こんなラップならアルバム丸ごと1枚聴いてみたいです!

マジ出してほしいなぁ。

”又吉ラフターインザダーク”のショートフィルム

又吉直樹が作ったショート・フィルムが評判がよかったので楽しみにしていましたが、まぁ面白かったし、最初は大笑いしたけどちょっと冗長かな 笑

あと5分短かくなくちゃ。って思っちゃいました( ◠‿◠ )

だけどわざわざここに入れたってことは、ここで前後に分かれますよ、という明確なメッセージ。

このあとのパートではほぼ『Fantôme』『初恋』という復活後のアルバムの曲のみ(「First Love」以外)演奏されました。

そしてそれこそが私も待っていたものなので、見どころはやはりこの後半です!

絶望の「真夏の通り雨」に希望の「花束を君に」

ショートフィルム後の「真夏の通り雨」の男前なことよ。

ショートフィルムのインタビューの中で、このツアー・タイトルである『Laughter in the Dark』について説明をしていました。

ナボコフの小説名から取ったけど、要は「希望と絶望」、「絶望の中の希望」、「絶望とユーモア」を表したかったと。

で、「真夏の通り雨」という曲はいわば絶望の真っ只中で雨に静かに打たれているような曲なんですね。

絶望は、あると。

この曲をこの流れで歌った彼女ははっきり宣言していました。

すごく見応えのある曲の1つになっていました。

で、「真夏の通り雨」と陰と陽で対になっているような「花束を君に」をその次に歌うことで、希望もある、ということを宣言していました。

この「花束を君に」のポップさは人を救うなぁ。

真夏の通り雨は雨に打たれるしかありませんでしたが、この「花束を君に」は悲しみの中、絶望に中にあっても、能動的にきちんと別れを告げられている曲です。

これこそ、この『Laughter in the Dark』のタイトルにふさわしい曲ではないでしょうか。

老若男女、ファン/ファンでないに関わらず、文句なく受け入れられる曲を作れるまでに成長した彼女。

朝ドラの主題歌にもなったこの曲は、やはりすごい強度のある曲です。

そして「Forevermore」

そして次は情念の塊のような「Forevermore」と畳み掛けます。

この曲大好きなんですけど、ライブがまたいいですねぇ。

かっこいい!

ラストのスキャットも含め、ライブ・ヴァージョン映えるわぁ。

「First Love」と「初恋」

ここで20周年に対するちょっぴり感傷的なMC。

20周年ということに対して

「こんな風に思うとは思わなかったけど、なんかすごく幸せです」

というMCのあとに続いたのは「First Love」。

こんな言葉を彼女から聴けた私たちの方こそ幸せですよと返したい気持ちになりました。

で、この最近の曲に混じって、唯一後半に演奏された「First Love」。

やはりすごい。

どの曲にも負けるどころか、互角以上の名曲然とした貫禄。

この曲を最初に15歳で作っちゃうんだからヒカルちゃんたらもう…。

その15歳で作った大名曲を35歳のヒカルちゃんが歌う感慨深さ。

とか感動してると。「初恋」が静かに始まる。

この曲もすごい。

もうさっきからすごい!とか、かっこいい!しか言ってない私(語彙力)

でもこの「初恋」は現在の宇多田ヒカルのすごさが一番わかる曲じゃないかしら。

あの長いブレイクのとことか、卒倒してしまうんじゃないかってくらいの緊張感をはらんでて。

これは特にライブで実際に生で聴きたかった曲です。

「Can We Play a Love Song」で締めっ!

「気持ちよくなりたぁぁぁい!と思って作った曲だから、みんなも好きに楽しんでくださいな」

という印象的なMCのあと、歌われたこの曲。

なるほどこの曲をラストに持ってくるかぁ!

これは”不安と戦いながら”も明らかに希望が詰まった曲。

祝福感溢れるこの曲。本編ラストにふさわしい選曲ですね。

舞台のバックスクリーンもカラフルに弾けていました。

そしてアンコールへ。ラストの曲は…?

アンコール前、オーディエンスがスマホのライト使って、揺らしてるの泣ける!

どんだけみんなヒカルの名の下、ユナイトしてるのさ!

で、そんな粋なアンコールに応えて出てきたヒカルちゃんが歌ったのは。

「俺の彼女」と「Automatic」

そしてやはり最後のMCにほろりとさせられましたねぇ。

大変なことがいろいろあったけど、よくぞこの場所に戻ってきてくれましたよと、こちらが感謝の気持ちでいっぱいになりましたね。

そっからのラストは「Goodbye Happiness」!

いやぁ、ここはほんとに感動的だったなぁ。

この、休養前の重要曲であった「Goodbye Happiness」がラストに来んだもん。

歌詞が異様に予言的というかなんと言うか。

彼女のテーマ曲みたいなものに成長しましたね、この曲。

ヒカルちゃんも最後は涙を我慢していたように見えました。

素晴らしかった!

まとめ

MC、すごく相手(オーディエンス)のことを気遣ったものが多くて。

あと他者への感謝。

だけど少し緊張気味なのか、訥々と話す感じは変わらずの内気さも感じさせて。

休養を経て、いろいろあって、成熟して大人になった彼女の深さを魅力をたっぷり感じられますね。

うん、落ちつかはりました( ◠‿◠ )

…とか思ってたら又吉を瓶で何回も殴ったりで、一筋縄ではいかないとこも健在で!笑

そしてそしてこのライブの時のヘアスタイルがかっこいいー!

ちょこっとだけ過激なツーブロックで。

見ようによってはそこまで過激じゃないのですが、ってくらいでおしゃれですねぇ。

めっちゃ似合ってる。

ライブ中の宇多田ヒカル

とにかく待ってました。

この『Laughter in the Dark』ツアーを観にいけないので、早く映像化してくれと。

もっと言うなら2010年に休養してから、いつか復活してライブをしてくれることを。

そして復活後の2016年『Fantôme』発表後。

2018年の『初恋』発表後、すごーく聴き込んだアルバムになった後。

ほんとずっと待ってました。

やっと観れました。体験できました。

映像だけど、やっと逢えた気分になりました。

このライブがあった12月という季節柄、「忘年会気分で(楽しんで)」というようなことをMCで彼女が言っていましたが、そうですね。

祝福される祭りに参加するようなスタンスで。

デビュー20周年という祝祭。

この時代の暗闇を笑いながら突っ切る勇者の祝祭であるライブを、なんどもなんども楽しみたいと思います!

アンコール後のTシャツ姿の宇多田ヒカル

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