『マンハント:ユナボマー』そのFBIの詳しい捜査の全貌とは

マンハント広告

ユナボマー。

特徴的なそのあだ名の響きや、あの印象的な似顔絵は一度見聞きしたら忘れられません。

ユナボマーが爆弾魔の連続殺人犯だということは知っていましたが、それ以上の詳しいことは知らず、クライムもの大好きなので詳しく知りたくて観ました。

同じNETFLIXで配信されている『マインドハンター 』と似ているこの作品。

あちら『マインドハンター 』はプロファイリングを駆使するFBIの行動科学課がどのように出来上がっていったかという実話を元にした物語でしたが、こちら『マンハント』はその出来上がった行動科学科のプロフィラーが、1人の犯人を捜査し逮捕するまでの実話を元にしたお話です。

このユナボマー事件は当時のその時点で、FBI史上、犯人逮捕までに一番予算がかかったものだったそうです。

それもそのはず、このユナボマー=セオドア・カジンスキーという男なのですが、彼がはじめに爆破事件を起こしたのが1978年、最後の爆破事件が1995年、逮捕が1996年と、実に18年もの時間がかかっています。

その逮捕に至るまでの捜査のプロセスを静かに丹念に描いてて秀逸でした。

主人公、フィッツ

主人公はFBIの犯罪プロファイラー、ジェームズ・R・フィッツジェラルド。

彼だけが、真犯人につながるヒントを見つけるのですが、彼の上司たちはこれでもかってくらい通俗的に能無しに描かれており、ことごとくフィッツジェラルド=フィッツの仕事を足蹴にします。天下のFBIでもこんなにひどいもんですかね?

フィッツはなんども出鼻をくじかれるのですが、絶対に諦めません。

この執念のような捜査を続ける中、やがて彼のプライベートもめちゃくちゃ、元相棒との関係も最悪になっていきます。

とにかく犯人だけしか見ていないため、周りとの摩擦が激しくなってくるのです。だし、単純に周りの人に、周りの人の感情に興味なさすぎ。

上司、相棒、仕事仲間、家族、彼を理解できるものがいないその様は、彼が追っている犯人、ユナボマーに限りなく近いものになっていきます。

ユナボマー=カジンスキー

ユナボマー=セオドア・カジンスキーの人となりも後半に詳しく描かれるのですが、これが本当に孤独。

彼はIQが167と恐ろしいほど高く、小学6年生から飛び級になるのですが、のちに語ったところによると、これが彼の少年時代を辛く孤独なものにしていったようです。

年長者の中で、心は未熟なまま、でも頭はだれよりもかしこく、唯一できた親友にも裏切られ、孤独はますます募ります。

そこへきて、大学時代の彼にとんでも無いことが起こります。

憧れていた心理学の教授に見初められ、心理学の実験と評して、本人の知らないところで実験台になるのですが、そこで精神的にズタズタにされてしまいます。なぜならその実験自体が、人の精神をどこまで壊せるか、みたいな内容のもので、なんとその実験は3年の間続いたというこです。

凶悪な犯人を許すわけではありませんが、これはあまりにもひどい仕打ちです。

人格破壊者をわざと産んでいるのですから。

しかもこの実験にはCIAがからんでいたという説もあり、恐ろしすぎます。

そんなわけで、内気でなかなか人に打ち解けられない彼が、やっと見つけた親友や教授にことごとく酷く裏切られていく様は見ていて辛くなってしまいます。

だからといって、連続殺人犯に同情するつもりはありませんが、先にあげた『マインドハンター 』もそうでしたが、凶悪連続殺人犯というのは、その多くは幼少期〜青年期に人々に、社会に「作られる」ものだということを、大人の端くれである私も忘れてはいけないのだと思います。

人と人との関係に救われる人ばかりではなく、不運にもこうやって壊されていくものが、やがて自分が破壊していく側になる…。こういった負の連鎖という言葉だけでは済まされない、なにか運命の、人間の持つ恐ろしさを感じます。

クロスオーバーする2人の男の孤独

そんな人生の諸々により人を信じれなくなったカジンスキーは森の小屋に引きこもって暮らすのですが、主人公のフィッツも実は同じ道を一度は辿ることになるのです。

彼が見つけた方法で、真犯人を見つけ、逮捕に至ったのに、周りから評価されるどころか、いないも同然の扱い。

腐った上司は彼の手柄を横取りするし、気がつけば周りには誰もいません。

逮捕の祝賀パーティーみたいなことやってるバーに行っても、誰にも相手にされずたまらずバーから出て行きます。そして向かうのはカジンスキーが暮らしていた小屋。そこでカジンスキーが残していた論文を読み明かすのでしょう。

フィッツには彼のことがわかったからこそ、彼だけがカジンスキーを逮捕できたのかもしれません。

このあと描写では前後していますが、フィッツ自身も落胆する中、どこかの森の山小屋に引きこもって生活を(一時的にですが)選びます。

フィッツは心の奥底では、カジンスキーとだけ心を通わせていたのかもしれません。

まとめ

実際の捜査になるべく近づかせたようなリアリティーがあり、なかなか真犯人にたどり着かない捜査の様子は見ているだけでもジリジリきます。

しかし全8話の中、後半に入るにつれどんどん加速してカジンスキーに辿り着いていく様は、非常にスリリングで途中でやめることができませんでした。

役者陣も実力派が揃いながらも地味なキャステイングで、語り口も基本は淡々と進んでいきます。

実話を元にした物語、なのでそれでも華美にしている部分はあるかとは思うのですが、なかなかどっしりと見応えのある硬派な作品だと思いました。

主人公の、喜びでもなく怒りでもなく、諦念にも似た苦い表情が全編に渡って披露されており、印象に残りました。

タイトルにある通り、シーズン2も『マンハント』のあとに犯人の名が入り、全く違うキャストで制作されるようです。

傑作刑事ドラマ『トゥルー・ディテクティブ』方式ですね。

このように、過度な娯楽性を求めず、中身重視の質の高いクライム・サスペンスものが最近アメリカで非常に多く作られいて目が離せません。

にほんブログ村 テレビブログ 海外ドラマへ
にほんブログ村


海外ドラマランキング