ドラマでもなく映画でもない新しい何か『マインドハンター』

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デビッド・フィンチャーが何本もの映画作りを通して伝えたかったものが、最良の形でここにある。

これはドラマでも映画でもない。

新しい何かだ。

NETFLIXのオリジナルドラマシリーズは多分ほとんどが1シーズン10話もしくは8話という構成になっていると思います。

これは、その10話(および8話)でひとかたまりの1つの作品。

1話完結もののドラマのように、わかりやすい3部構成になっていない。

勧善懲悪だったり、登場人物がストーリーの起伏優先による御都合主義なんかに陥ったりしない。

徹底したリアリティーを追求することにより、いや、リアリティー寄りのオリジナルなストーリーテリング手法により、これまでに見たことのなかったような見応えあるドラマになっている。

なんと野心的な作品であるか。

Netflixは地上波ではない分、その構造上とても自由な作品を作れる土台。

昔のHBOの作品みたいに、ほとんど作家の好きに表現できる。

娯楽性、集客性を気にせず、質の高さのみを考えて作れるのだ。

ジョン・カサヴェテスが嬉々としてFBIものを作ったならこんな作品になった?

とか想像するのも楽しい。

しかし、いやぁ本当に面白かった。

文句なしに。

『羊たちの沈黙』との親和性

『羊たちの沈黙』で有名になったFBIのプロファイリング。

これはその犯罪者プロファイリングというものが、FBIの行動科学科で形作られていく様を追っていくお話。

私は高校生の時に映画館で『羊たち〜』を見て、文字通りフラフラになって帰り道知らない道を彷徨った経験があり、それからというもの、FBIに、犯罪プロファイリングに、レクター博士にどハマりした過去があります。

そんな私みたいな『羊たち〜』ファンにとって、これはご褒美のような作品であります。

そこかしこに、クラリスの、クロフォードの、犯人のバッファロー・ビルの、そしてレクター博士の、モデルや亡霊がうじゃうじゃいるのですから。

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そして、『羊たち〜』では原作者のトマス・ハリスによって、それぞれがインパクト大のキャラクターに創り上げられていましたが、こちらの『マインドハンター』では徹底して、リアル。

つまり地味。

不自然なところを抜いた分、わかりやすさ、キャッチーさはほぼほぼなし。

リアルな会話劇を通し、淡々と物語は運ばれていきます。

そうまるで実の人生のように。

なのに、スリリング。

なのに、ドラマティック。

画面は静かなのに、どえらいことが起こっている不気味さはフィンチャーの十八番ですね。

だけどその演出だけでなくやはり脚本、音楽、美術、そして俳優陣の演技が素晴らしく、1話目から最終話の10話まで、全く飽きさせることなく楽しませてくれました。

ちなみにフィンチャーはシーズン1の1話目と2話目、9話目と10話目を監督しています。

それは『冷血』に似た手触りをしている

新しい何かだと先ほどから書いている私ですが。

一番近い手触りとしてはトルーマン・カポーティのセミドキュメント犯罪小説の傑作『冷血』だと思います。

あの小説も小説なのか、ドキュメンタリーレポ物なのか、得体の知れないものがありました。

事実に基づいた(しかも残虐な犯罪について)物語を淡々と追っている恐ろしさが、すごく似ているのです。

考えられないような猟奇的な連続殺人事件が、普通の人の普通の人生に紛れ込んでいる様が恐ろしいのです。

素晴らしいキャスト

ホールデン・フォード役:ジョナサン・グロフ Jonathan Groff

“ホールデン”も”フォード”もなんかずるい名前だな!

私はこの俳優さんは初見でした。

男前なのか、はたまたベビーフェイスなのか。

マトモなのか、はたまたかなりヤバイのか。

頭脳明晰にして、ちょっと抜けてると言ってもいいようなお人好し(物語冒頭は…)

しかし犯罪者の心情も読める/わかる、というようになぜか彼らと近いところにいる男。

この、よくわからなさ、が逆にすごくこの役柄にピッタリハマっていました。

シリアル・キラーたちと接していくうちに、静かに徐々に変わっていくのですが、そこも見せ方が非常にうまかったですね。

シーズン1の10話目の最後の最後。

エド・ケンパーとの対面シーン。

若い上に野心的で、その分色々と逸脱していき、調子に乗っていたので、自己責任といえばそれまでですが、ちとかわいそうでしたね。

でもこれでシーズン2では、地に足のついた行動で、さらに「プロファイリング」を創り上げていってくれることでしょう。

期待!

ビル・テンチ役:ホルト・マッキャラニー Holt McCallany

テンチ、テンチ!

今回私は主役よりも、この人に惚れましたね!

渋い!

ホールデンの先輩で、FBIの行動科学科を作った張本人。

だけど、人間的にはホールデンよりも保守的で、犯罪者に対しての嫌悪感が抜けないまま面会するので、犯罪者を逆上させてばかりで、そこがまた人間臭くていいんですよねぇ。

主役のホールデンがちょっとわけわかんない系入っているので、この重厚なルックスと声で見てるこちらを落ち着かせてくれるわけです。

いかにも頼れる先輩。

プロファイリングは才能ある後輩に抜かれがちですが、それでいい。

人としてはマトモってことだもの。

ほんとホールデンだけでは頼りなかったり危なかしかったりするところを、キュッと締めてくれます。

しかし、このホールデンとテンチの2人の中にある亀裂が入った形でシーズン1は終わりました。

果たして2人の名コンビは復活するのかー?

ウエンディ・カー博士役:アナ・トーヴ  Anna Torv

ウェンディと名前は爽やかですが…

そしてこの人もよかった!

この犯罪心理学の学者さんが、ホールデンとテンチの行動科学科に加わった瞬間は痛快でしたねぇ。

ホールデンとテンチの徹底した現場主義に、このウェンディの冷徹なまでの学術的裏付けが加わって、プロファイリングなるものが形をなしていく様を見るのはとてもスリリングでした。

3人の中で一番冷静で、一番物事を客観的に見れて、一番頼れる、それがウェンディ。

この女性の描き方も、決して紋切り型ではなく、淡々とととことん地味なもので、そーゆーとこいちいち痺れるんですよねぇ。

そしてアナ・トーヴの抑えに抑えた演技が、見ていて緊張感たっぷりでゾクゾクくるんですよねぇぇ。

このウェンディと先ほどのテンチ、こういう地味〜〜〜なメンツに肩入れできそうな方なら、このドラマ、どハマりする可能性高いのではないでしょうか。

渋々な2人(捜査にはやる気満々)

実在する人物をモデルとしている

ホールデン・フォード

ジョン・E・ダグラス(実在の人物)

 ・「マインドハンター FBI連続殺人プロファイリング班」(この作品の原作)

 ・『羊たちの沈黙』のジャック・クロフォードのモデル

ビル・テンチ

ロバート・K・レスラー(実在の人物)

 ・「FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記」

ウエンディ・カー

アン・W・バージェス博士(実在の人物)

 『羊たち〜』に夢中になった当時、ロバート・K・レスラーの「FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記」が映画効果でヒットしていたように記憶しています。

当時読みたかったけど、「お話」ではない本当の殺人鬼の話は怖くて読めなかったんですよねぇ。

おばちゃんになった今なら難なく読める!笑

このFBI捜査官2人の著作、しっかりこれから読みしめたいと思いまっす٩( ‘ω’ )و

美術も音楽も風景もすべてが徹底されている

あとはね、音響もすごく凝ってましたね。

イヤフォンで聴いてたからわかったんだけど、めちゃ左右上下に効果音が振るんですよ。

例えば、シリアル・キラーが収監されている監獄のシーンとかで、ドアの音とか他の囚人の囁き声とか、そういうちょっとした音が。

これがなんとも臨場感に溢れているし、やはり『羊たち〜』を思い起こさせたり。

あとレイト70’sの衣装はもちろん、建物の質感、車、部屋の小道具などなど、大道具から小道具、風景に至るまで、その雰囲気バッチシで。

そういった細部も見ていてシビレどころです。

『マインドハンター』シーズン2はいつから?

面白すぎる作品はすぐわかる。

それは全部見たか、もし見たならどれくらいの日にちでイッキ見したのか。

これは2日間くらいで最後までダダダーーッと見ました。

素晴らしい作品が多いネットフリックスのオリジナル・ドラマ・シリーズ。

その中で個人的にダントツの1位はこの『マインドハンター』となりました!

まだ見ていない方は是非この作品の中に入り込んでうんうん唸らされてください。

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ここで一緒にニヤリしましたよね!

『マインドハンター』シーズン2は2019年に配信予定とされています。

もうそろそろでしょうか。

シーズン2の配信が待ち遠しいです!

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