『遊星からの物体X』(’82)カーペンター作の超ド級の娯楽作品だっ

子供の頃に1.2度ビデオで観たきりだった作品。

今ハマっているアメリカのドラマ『ベター・コール・ソウル』でソウルの彼女役のキムという人物が好きな映画として名前が劇中に出てきていて、そこに興味を覚えひっさびさに観直しました。

いやぁ、おもしろかった。

だけどグロいのダメな人と犬好きな人は観ちゃダメなやつですね。

私はどちらにも当てはまりますが、それよりも面白い映画には抗えないという方が勝つので、完全無抵抗でやられました。

2020年6月3日現在、アマゾンプライムビデオで視聴可能です。

原題:(John Carpenter’s) The Thing (1982)

監督:ジョン・カーペンター

配給:ユニヴァーサル映画

上映時間:109分

あらすじ

氷の中から発見されたエイリアンと南極基地の隊員との死闘を描いた、SFホラーの古典「遊星よりの物体X」のリメイクで、よりキャンベルの原作に近い。10万年前に地球に飛来した謎の巨大UFOを発見した南極観測隊のノルウェー基地が全滅。やがてノルウェー隊の犬を媒介にしてアメリカ基地に未知の生命体が侵入した。それは次々と形態を変えながら隊員たちに襲いかかる……。様々な形態に変化するために疑心暗鬼の中で行われる…

allcinemaより

 

スタッフ・解説

スタッフ

  • 監督:ジョン・カーペンター
  • 脚本:ビル・ランカスター
  • 撮影:ディーン・ランディ
  • 音楽:エンニオ・モリコーネ

ホラーが得意なジョン・カーペンターだけあって、誰が人間で誰が人間じゃないThe Thingsなのかという緊迫感溢れるサスペンス的な描写がこれでもかと連なり、南極基地という閉鎖的な設定も相まって観てて息苦しいほど。

隊員たちの血を取り、その血に熱を当てて人間かどうか確かめるシーンはハラハラワクワクします。

そしてある隊員の血に熱を当てると…。

The Thingsと化した隊員と繋がれている元・隊長たちが「ほどけー!」と叫んでのドタバタ暴れ具合がちょいと笑えます。そりゃそうだよね(笑)

SFX担当のロブ・ボッティンは当時22歳!嬉々としてあのグロいThe Thingsを作ったでしょうね。

また”追加モンスター(ドッグモンスター)製作”(という名!)にスタン・ウィンストンの名がありますが彼は『エイリアン2』ターミネーターシリーズ、ジュラシック・パークシリーズでお馴染みの人ですね。

あと音楽がいい。エンニオ・モリコーネだったんですね。

キャスト・解説

キャスト

  • R・J・マクレディ:カート・ラッセル
  • ブレア:A・ウィルフォード・ブリムリー
  • ノールス:T・K・カーター
  • パーマー:デヴィッド・クレノン
  • チャイルズ:キース・デヴィッド

シベリアン・ハスキーの毛並みに負けていないカート・ラッセルの豊かなヘアスタイル。若くていいんですよね、この映画のカート・ラッセルが。強気で強引で。こういう人しか生き残らないよねという説得力がある。

アメリカ映画の群集劇の登場人物は自分らしさをワンポイント加えるのがいい。みなそれぞれ個性豊かで。


このカート・ラッセルの場合は、テンガロンハット。アウターも他の隊員たちのように機能的なジャケットではなく一昔前の飛行機乗りが着るよう革ジャンで『コンドル』ケーリー・グラントを思わせたりもするのがいい。

あとは食事係の黒人の子の「らしさ」。ローラースケートで基地内を移動し、でっかいラジカセでスティービー・ワンダーを鳴らして「うるさい」と怒られていた。

物体XのSFX

そのグロさが「ここまでやるか」という面白さに比例している。

CGだとそういう感覚を持てない。

やはりそこにちゃんと”物体 ・The Things” があるSFXならではの面白さ、ぎこちなさ、つたなさが味になっている。人が作った温かみと言ったら大変ヘンなんですが。

でもこのぎこちなさが笑えて、どこかB級作品(バジェットや面白さはA級ですが)と思わせる良さがあります。

ちなみにNetflixの人気シリーズ『ストレンジャー・シングス』のまさにストレンジャーなシングス “The Things”、デモゴルゴンの造形はこの “The Things” から取られています。あの顔パッカーのやつ。

 

1951年版『遊星からの物体X』は鑑賞済み。前日譚を描く2012年版は観ておりません。

古い方のハワード・ホークス『遊星からの〜』はもう一度観たい。この作品と比較する意味でももう一度観たい。こちらも面白かった記憶があります。

2012年版はどうなんだろう。でもこれをCGのVFXで観てもなぁっていうのはあります。

”The Things”というモンスターの造形やその侵食する具合、個性豊かな隊員たちといった描写が『エイリアン』(’79)に大変近く、また雪原の中の話と言った意味では『シャイニング』(’80)、『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』(’80)とも重なっている、1980年代初頭という時代性を感じるこの作品。

ジョン・カーペンターハワード・ホークスアルフレッド・ヒッチコック、オーソン・ウェルズ、黒澤明、小津安二郎などを敬愛するようなシネアストでもあります。

映画のいいところ、ツボをよく知っている映画監督。

時々挟まれるのは、生々しくグロテクスな生物と対比するようないつも静謐な南極の雪原の張り詰めたような風景。この感覚がいいなぁと思う。

信頼を持って安心して身を委ねて観ることのできる超ド級の娯楽作品をここに作り上げました。