『東京』古市コータロー 歳を重なるにつれて輝いてくる男のソロ最新作

『東京』古市コータロージャケット

ふと古市コータロー、AppleMusicにアップされてないかなーとチェックしてみたら、今年の春に出たばかりの最新作『東京』を含む全ソロ・アルバムがあるじゃないですか!

思わず「わー!」と声をあげ、すかさず ➕追加 ボタンをクリック。

もちろん4作品全部。そして聴きまくっているところです。

どうやら彼の誕生日である5/30に全アルバムが解禁になった模様です。

古市コータロー、1964年生まれ。ザ・コレクターズのギタリスト。ギブソンES-335が日本一似合う男。

最近は加山雄三さん率いるKing ALL STARS、神野美伽 with 古市コータロー+クハラカズユキにギタリストとして、朝ドラ『ひよっこ』ゲスト出演やCM、映画などの俳優業、はたまた古着屋のオーナーなど、幅広い活動をしています。

しかもこの『東京』に合わせて、なんと55歳にして彼自身の写真集まで出たんですから!

古市コータロー -東京 音楽と人 2019年 4月号増刊 / 古市コータロー 【雑誌】

恐ろしい男です、コータローは。

 

『東京』感想

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コロムビアミュージックエンタテインメント

2019年3月27日リリース

 

M-1 かわいた世界に 

M-2 愛に疲れて 

M-3 ハロー・ロンリネス 

M-4 ホンキートンクタウン 

M-5 ROCKが優しく流れていた 

M-6 シティライツセレナーデ 

M-7 泣き笑いのエンジェル 

M-8 そんなに悲しくなんてないのさ 

M-9 1979 (interlude)

M-10 Song Like You 

M-11 夏が過ぎてゆく 

この『東京』というアルバムタイトルは、サニーデイ・サービスの代表作のそれを否が応でも思い起こさせるということ。

コータローはSNSやインタビューなどでサニーデイ・サービスが2016年に発表した『DANCE TO YOU』が傑作だとよく言及していたこと。

あと彼のブログでの収穫レコの多く ”レイト70’s〜アーリー80’s” の洋楽/邦楽のシティ・ポップやAORだったこと。

以上の観点から、彼の新しいソロ・アルバムがどういうテイストのものなのかということを大体予想していたのですが、確かにモロそういう曲も収録されていますが、もっと彼らしいおおらかな ”レイト70’s〜アーリー80’s” 解釈になっていました。

クラシック・ロックを基調にシティポップあり、レイドバックした曲あり、キラキラしたポップ調ありと、コータローのいろんな表情を見れる好盤になっていました。

 

曲の感想

M-1 かわいた世界に

作詞が脚本家の岡田惠和さん、という異色の組み合わせで、のっけから低音やさぐれヴォイスで歌うハードボイルドな曲です。

このソロ・アルバムを聴いているとどこかソロ初期あたりのエリック・クラプトンのことが頭をよぎるのですが(コータローと曽我部氏の対談でもクラプトンの名前が出てきていました)、まさにアウトロが「While My guitar Gently Weeps」風味。

ギターももちろんそうなのですが、あと本業ではないため、どこか線の細い頼りなげなヴォーカルや、とびきりのおしゃれさんなとことかですね、クラプトンと被って見えてくるのは。

M-5 ROCKが優しく流れていた 

私の一番のお気に入りの曲がこれです。

曽我部恵一作詞の曲です。

コータローに自分のこと「ぼく」って歌わせた彼の功績は大きいですね。

 

この頃ぼくは ちょっとおかしい

どこか遠くへ 行きたくなる

 

こんなことが曲調は「Don’t Let Me Down」で歌われるのでたまりません。

少し気だるくて優しい世界。

コータローと曽我部さん。これはかなりいい組み合わせが見つかったんではないか。

 

古市コータロー(THE COLLECTORS)×曽我部恵一が語り合う、東京の街から生まれる音楽 サイト:Real Sound

M-6 シティライツセレナーデ 

これは完全にザ・シティポップ。しかも良質の。

アルバムを聴くまではこの感じで全面くるのかな〜と思っていました。

堀下さゆり というシンガーソングライターの方の作詞作曲です。

M-7 泣き笑いのエンジェル 

このアルバム、好曲が続くこの並びが好きです。5、6、7曲目。

この曲はイントロのポップ、だけどどこか英国の湿り気を感じさせるギターリフがいいんですよねぇ。グッと掴まれちゃいます。

間奏のギターも、ヴォーカルもフツーにいい!

好きだなぁ、こういうの。

M-10 Song Like You 

これはまた元気で若々しい快調な曲。

作詞作曲が萩本あつしという方なのですが!

今ググってちょっと背筋にゾクゾクきました!

この萩本あつし、あの新旧ブリティッシュ・ロック・テイストを今に引き継ぐバンドLayne のヴォーカル、ギターの人じゃないですか〜〜!!

 

Layne 「ステイウィズミー」は新旧問わずの英国ロック好き者必見!

 

そっか、歌詞の謎がとけました!

これ、萩本あつしのコレクターズ賛歌、古市コータロー賛歌、そしてコータローに対して、見ていてください!(俺はバンドで一旗揚げる!)っていうメッセージだったんだ…。

泣けてきた…!

 

ただ すり減らす 今日も 振りかぶる

生きることに 諦めが悪いだけじゃない

まだ 鳴らしてる ずっと SONG LIKE YOU

あなたに見られていたい

このアルバムの参加ミュージシャンに仲井戸麗市(チャボ)がいるのですが、この場合、この歌詞の「見られていたい」のはコータローの方で、チャボに見ていてほしいんですよね。

こういう気持ちをまだ感じられる人だからこその、この萩本あつしの起用だったのでしょう!

コータローは義理人情にとても熱い男ですからね。

昔加藤、今コータロー

私は20歳くらいの頃、ザ・コレクターズに夢中な時がありました。

アルバム『UFO CLUV」(1993)から『BEAT SYMPHONIC』(1999)の間だから足掛け6年。

中身は濃かったので体感ではもっと長い気がする。

で、その頃に熱をあげていたのは、この古市コータロー氏、ではなくヴォーカルでバンドのリーダー、加藤ひさし氏でした。

加藤さんの濃すぎる顔も好みだったし、モッド精神溢れるファッションも大好きで。

そしてなにより彼の描く詩の世界が好きでした。

とにかく孤独でねじれたひとりぼっちの世界。

なんで僕のこと誰もわかってくれないんだ、こんな世界なら世界の方が間違ってるに決まってる、僕そんな世界とはおさらばして、ずっと1人で夢見ているさ

そんな1人で子供が拗ねているような世界。わがままというかひとりよがりというかいつまでも子供というか世間知らずというか。

こんな歌詞世界をキンクスやビートルズやスモール・フェイセス、ザ・フー、そして有名/無名問わずのサイケデリック・ポップを彷彿とさせるメロディ・ラインでオマージュしまくって、とにかくポップな曲調で。

ヒップでキャッチーで時にクレイジーで、とにかくイカしてました。

すっかりとりこになりライブも地元も遠征も行きまくってました。

当時からその”リーダー”こと加藤さんと人気を二分していたのは”コーちゃん”ことコータローだったんですね。それはもうデビュー当時から変わらなかったんじゃないかと思います。

いや、ライブなどではむしろ黄色い声はコータローの方が多かった気がする。

モテる、っていうのはこういうことだなぁ、って感じがいつも漂ってました。

でも私のその当時のコータローの印象は、面白いなぁっていうのがかっこいいよりまさってました。

ライブでもMCで口を開けば、笑いを取っていたり。

今みたいに2人のポッドキャストみたいな漫才的なものじゃなくて、話を加藤さんから「ねぇ、コータローくん、そうだよね?」みたいに同意を求められて、一言答えて爆笑を取る、みたいな感じ。すっとぼけてたよなぁ、あの頃。

あと、強烈に印象に残っているのは、当時コレクターズのファンクラブに入っていたのですが、その会報にだいたいメンバーが1ページくらい自由に割り振られていたのかな?うる覚えだけど。

で、そこにコータローが独特の震えるような描線で描いていたヘタウマのイラストのことは強烈に覚えてます。なんかそれが異様に面白かったんですよね。

大体が好きなお酒や焼き鳥の話だった気がします。

ここだけの話、ファンクラブの会報を読んでその人柄を知れば知るほど好きじゃなくなっていったのは加藤さんのことで、なんかどうにも人好きのする、ゆるくていいやつだなぁと好感を持ったのはコータローの方でした。

そして時は流れに流れてシングル「Da!Da!!Da!!!」(2014)でまたコレクターズに戻りハマる時が来ました。コレクターズは長いこと活動してくれているので、こうやって戻ってくるファンも多いのです。

私にとってのコレクターズ第2期の始まりなのですが、この第2期の私の推しが加藤さんではなくコータローに激烈に変わったのです。

なんで今コーちゃんなのか

ではなぜ今コーターローなのか。

まずね、ルックスがね、私のコレクターズ第1期、つまり90年代のコーちゃんはなんかマッシュルームもしめじみたいな感じで、かわいらしかったんです。

私はおっさんが好きなので、断然加藤さんだったんです(怒られる)

でもでも、50代になったコーちゃんはよかったですね。

生きてきた年輪がちゃんと顔に刻まれてて、熟成されてすっごいいい男になったなぁって、勝手なことばっか言ってるけど、ほんっとそう思ったんですよね。

 

90年代の加藤さんは長めのマッシュスタイル(これは今でもそう)で、ちょっと中性チックで、モッズテイストを崩さないルックスで、その徹底された美意識で作られた良さ、に惹かれていたんです。

だけど、2010年代にもなり、自分も20代から40代になって、なんか脳内体内色々と変わったんでしょうね。

フツーにさらにかっこよく、でっかい男になったコーちゃんが非常にいい、素直にそう思うようになりました。

それと同時に彼がコレクターズの楽曲で果たしてきたギタリストとしての貢献、そして30年以上もの間、存続するバンド内の調節係としての役割など、計り知れないほど大きかったのではないかということに改めて気づき、敬服することとなりました。

彼やコレクターズ周りで好きな話は、2003年、所属事務所がなくなり、加藤さんも精神的に参ってしまい、バンドが危機的状況になったその時!今まで呑気に構えていたコータローがマネージャを引き受け、ライブ会場のブッキングから、ギャラの交渉まで1人でこなして、バンドを立て直していったっていうやつです。

「頼れる男」とは彼のことですね。

 

そんなわけで、昔から知っていた人ですが、今、新鮮な気持ちでウキウキと対面しています、古市コータロー。

新旧のギタリストも演奏や作詞作曲で参加して、これはコータローの夢がいっぱい詰まってるアルバムなんだと思います。

ギタリストだったら、こんなアルバム出したいんじゃないかな〜ってアルバム。

彼の最新作は”ギタリストのソロ・アルバムを聴く趣” を思う存分味わうことのできる好盤でした。

コータローソロ、聴きまくるどー( ◠‿◠ )

 

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